【専門が違うと世界の見え方が変わる?】エコノミストガールv.s. エンジニアボーイ【議論の火種の構造分析】
なんであの人とは、話が噛み合わないんだろう?という
「対話のあるある」について
優先順位の違いから、考えてみよう!のミニコラムです。
人は置かれた専門領域で優先順序が変わる。
ホテルにコンサルタントが介入すると、まず喧嘩になるのは「コンサルタント」v.s.「料理長」だとよく言われています。「仕入れ値を下げられないか」v.s.「うまい料理を食わせてやりてェんだ!素人が口を出すな!」の構造ですね。大ヒットドラマ「グランメゾン東京」でも似たようなシーンがありました。
日本の大学では、一般的に「文系」と「理系」に分別されます。「文系」v.s.「理系」という論争の話題はどの時代でも見受けられますね。しかし、世の中の社会課題の多くは、学際的な領域にまたがることが多いことが実情です。
例えば、「都市開発」というテーマを一つにとっても、「都市経済学」と「都市工学」。似たような名前の専門領域が存在します。ここでひとつ、「経済学」と「工学」とは何か。ザックリその立場をおさらいしておきましょう。
すなわち、「効率性が最優先だ!」と叫ぶエコノミストと、「安全性がなければ意味がない」と立ちはだかるエンジニア。二人の議論が白熱するわけですね。
アイツの中の最優先事項はなんだろう?
上記の通り、その人が置かれた専門領域によって、最優先事項や思考のスタイルが変わるという構造が存在する。平たく言えば、どんな環境で、何を学んだかによって、優先順位は形成される。
たとえば、「薄型テレビを壁に打ち付ければ、空間のスペースが有効になるじゃない?」と提案する妻と、「いや壁の構造的に、うちではそれは難しい」とやんわり否定する旦那。ふたを開けると、 妻は商業高校で簿記を学び、旦那は高専で工学を学んでいた。他愛もない日常会話の裏側に、そんな構造が隠れていることもあるだろう。エコノミストガールとエンジニアボーイ。
そんなこともつゆ知らず、合理的な「主張」ばかりする妻と物質的な「否定」ばかりする旦那の会話は、繰り返されるうちに、摩擦を生む。
ここまで読んでくださった方は、もう既にお分かりだと思いますが、この会話の摩擦の解消のカギは、「相手の優先順位構造」を理解し、話の妥協点を探ることにあります。
そのためには、専門バカであってはならないということです。自分の見えている景色や思考スタイルをいったん留保する。俯瞰的にその問題を眺めて構造を把握する力が必要。これは「やさしさ」と同義です。
相手を動かしたければ、権威構造を把握しよう。
相手がどんな思考のスタイルを身に着けてきたかは、その環境を知ることで、大きく傾向分けできるのではないかと思います。宗教然り、学問然り。その環境独特の癖が優先順位を作り出しますから。養老孟子先生は社会現象となったベストセラー『バカの壁』にて、唯一神の宗教間では戦争が起きると著述していましたね。
それに加えて、こちらは少しズルい手法ですが、相手の権威構造を知ることも、有効な手立てとなります。つまり「相手が、何に影響されてているか?」を知ることです。
例えば、学歴至上主義者を説得させたければ、「スタンフォード大学の有名抗議でこんな話があった!」と言えばいいですし、キスマイフット2の千賀君には「この化粧水は高いけれど、しっかりとエビデンスがある」と言えば、買ってくれるんです。これも一つの優先順位の把握ですね。
「このペンを1万円で私に売ってください」の模範解答は、対話のなかで相手が最も権威を感じているものをやんわりと聞き出すことです。
話がだいぶ逸れましたが、とどのつまり、本日のまとめは以下の通りになります。
ものしりんご!
「人の肩を揉むと、自己肯定感が上がって、腕の筋力も上がるからお勧めだ」って、アップルフォード大学の高井林吾教授が言ってたけど、僕の肩でも揉む?
お安い御用で‼

